設立趣旨書

認知症の早期発見と予防・治療研究会
設立趣旨書

dr_tabira
認知症早期発見、予防・治療研究会 代表世話人

順天堂大学大学院 認知症診断・予防・治療学 客員教授
くどうちあき脳神経外科クリニック認知症早期発見、予防・治療センター長

田平 武

 我が国は急速な高齢化により認知症患者数が増大しており、厚生労働省の調査では全国患者数462万人、またその予備軍である軽度認知障害(MCI)は400万人と推定され、高齢者の4人に一人が何らかの物忘れの症状をもつ時代になっています。この数は今後急速に増加し、2025年には認知症患者は700万人を超えると推定されています。認知症とくにアルツハイマー病では原因究明及び根本治療薬の開発が行われていますが、まだまだ時間がかかりそうです。従って認知症を早期に発見し、予防法を施すことにより認知症の発症を少しでも遅らせることが重要と考えられます。
 アルツハイマー病の早期発見方法としてはアミロイドイメージングや血液・髄液のアミロイドベータ蛋白、タウ蛋白の測定によりある程度可能になってきていますが、費用や手技上の問題により広く応用されるには至っていません。最近バイオマーカー、嗅覚その他の研究が進み血液その他による診断も可能になりつつありますが、まだまだ研究が必要な状況です。
 一方予防・治療法としては生活習慣病の予防に加えサプリメント、音楽療法、脳トレ、運動など、従来の医療・治療法にとらわれないさまざまなアプローチが提案・試行されています。しかしながら、これらについて理論や効果の測定・判定等に十分な科学的・医学的な検証がなされているとは言えないものがあり、さらなる研究が必要です。消費者庁は2015年機能性食品の機能性表示を認めることにしましたが、その為には研究を推進し十分なエビデンスを積み上げる必要があります。
 そのような状況の中で、認知症を早期に発見する方法の開発および予防・治療法の開発を行い、最終的には高齢者の健康寿命延伸に貢献するために、「認知症サプリメント研究会」を改め、「認知症の早期発見、予防・治療研究会」を設立し活動を進めて参りました。本研究会ではその目的達成のために研究成果発表・討論の場として研究会を当面は年2回開催することとしております。
 私どもの取組みが、認知症の早期発見、予防・治療への一助となり、多くの高齢者にとってあらたな予防・治療の選択肢を提示できるようになることを目指して、同様の趣旨で活躍されている団体・個人などと連携・協働しながら活動を展開していきたいと思います。この趣旨に是非ともご賛同いただき、研究会への参加ならびにご協力をいただきますようよろしくお願いします。

 
平成30年1月(改訂)